「ネパール人材を採用したいけれど、文化の違いや言語の壁が心配…」とお感じの採用担当者の方は多いのではないでしょうか。特定技能制度(2019年に創設された、即戦力外国人材を受け入れるための在留資格)を活用してネパールから人材を迎える企業は年々増えていますが、初めての受け入れでは思わぬ課題に直面することもあります。
本記事では、ネパール人材を受け入れた企業が感じやすい代表的な課題と、その具体的な対策をご紹介します。事前に知っておくことで、スムーズな受け入れと高い定着率につなげることができます。
ネパール人材の特徴と日本企業に選ばれる理由
課題をお伝えする前に、まずネパール人材の強みを整理しておきましょう。
ネパールは特定技能・技能実習ともに日本への送り出し実績が豊富な主要国のひとつです。日本語学習に熱心な人材が多く、日本語能力試験(JLPT)の合格者数も多い傾向にあります。また、勤勉でまじめ、向上心が高いという国民性が多くの日本企業から評価されており、長期就労志向が強いため定着率が高い点も特長です。
こうした強みがある一方で、文化・宗教・生活習慣の違いから、受け入れ企業が戸惑うケースもあります。以下では代表的な課題を4つに分けて解説します。
課題1:食事・宗教への配慮
ネパールはヒンドゥー教徒が多数を占める国であり、牛を神聖な動物として崇める信仰から、牛肉を食べない方が多くいます。これは義務ではなく個人の信仰によるものですが、採用した方が牛肉を避ける場合、食事面での配慮が求められます。
具体的な対策
- 社員食堂や仕出し弁当を利用している場合は、牛肉不使用のメニューを選べるよう選択肢を用意する
- 入社前の面談や書類で、食事に関する希望・制限を丁寧に確認しておく
- 近隣の飲食店情報(ハラール対応、ベジタリアン対応など)を案内する
食事への配慮を示すことは、「自分たちのことをきちんと理解しようとしてくれている」という信頼感につながり、定着率向上にも直結します。
課題2:宗教行事・祝日への理解
ネパールにはダサイン(秋の大祭)やティハール(光の祭り)など、日本の祝日とは異なる重要な祝祭日があります。これらはネパールの人々にとって家族と過ごす大切な時間であり、帰省や礼拝のために休暇を取りたいと考える方も少なくありません。
具体的な対策
- 年間の主要なネパール祝祭日をあらかじめ把握し、有給休暇の取得について柔軟に相談できる環境をつくる
- 「取得できる・できない」の一方的な通達ではなく、事前に希望を聞いてシフト調整を行う
- 文化行事への参加を認めることで、従業員のモチベーションと帰属意識が高まる
日本の法律上、宗教的信条を理由に不利益な扱いをすることは認められていません。文化への理解を示す姿勢が、長期的な信頼関係の基盤となります。
課題3:日本語コミュニケーションのギャップ
ネパール人材は日本語能力が高い傾向にあり、特定技能の要件を満たすレベルの日本語力を持つ方が多くいます。しかし、日常会話と業務上の専門的なやり取りでは求められる日本語レベルが異なるため、「仕事の指示がうまく伝わらない」「敬語や業界用語を理解してもらいにくい」といった場面が生じることがあります。
具体的な対策
- 業務マニュアルや作業手順書をやさしい日本語(平易な表現・短い文)で作成する
- 専門用語や業界固有の表現は、入社時にまとめて説明する機会を設ける
- 「わからないことは聞いていい」という雰囲気づくりを心がける(遠慮して聞けない状況を防ぐ)
- 必要に応じて、登録支援機関(受入企業に代わって外国人の生活・就労支援を行う機関)に通訳・翻訳サポートを相談する
課題4:在留資格の手続きと法令対応
特定技能1号の在留期間は通算最長5年で、更新や転職の際には在留資格変更の手続きが必要です。手続き書類の作成は専門知識が必要なうえ、2026年1月1日の行政書士法改正により、報酬を得て在留資格申請書類を作成できるのは行政書士・弁護士のみとなりました。登録支援機関は入管への書類提出(取次)は行えますが、書類の「作成」は行えないことが明確化されています。
具体的な対策
- 在留資格申請書類の作成は、行政書士に依頼するか、自社の担当者が作成する体制を整える
- 登録支援機関は生活支援業務(住居探し・銀行口座開設のサポートなど)を担う機関として活用する
- 更新時期を見越して、余裕をもってスケジュールを立てる
手続きの遅れや誤りが在留資格に影響する場合があるため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。詳細は出入国在留管理庁の公式情報をご確認ください。
課題を乗り越えると見えてくる、ネパール人材の可能性
上記の課題は、事前の準備と継続的なコミュニケーションで十分に対応できるものです。むしろ、これらに丁寧に取り組んだ企業ほど、ネパール人材との信頼関係が深まり、高い定着率・戦力化につながっているという声が多く聞かれます。
特定技能1号(通算最長5年)での受け入れを起点に、特定技能2号(更新制限なし・家族帯同可)への移行を見据えた長期的な雇用計画を立てることで、ネパール人材は貴社の中核的な戦力となり得ます。
まとめ
ネパール人材の受け入れで感じやすい課題は、主に「食事・宗教への配慮」「祝祭日への理解」「日本語コミュニケーション」「在留資格の手続き」の4点です。いずれも事前の準備と相互理解によって対処できる課題であり、適切なサポート体制を整えることが定着率向上と職場の安定につながります。
初めてネパール人材を受け入れる際は、制度の正確な理解と継続的なサポートが重要です。一人で抱え込まず、専門機関を活用することをお勧めします。
特定技能の受け入れについてお悩みの方は、登録支援機関でもあるシャインアーチ株式会社にお気軽にご相談ください。

